働き方変革 事例集

株式会社アライメント:成果連動型の働き方と人事評価制度改革で、従業員の自律性と組織の生産性を向上させた事例

Tags: 成果評価, 柔軟な働き方, 人事評価制度改革, 生産性向上, 従業員自律性

事例概要

本記事では、テクノロジーソリューションを提供する株式会社アライメントがどのように成果連動型の働き方と人事評価制度を改革し、従業員の自律性を高めながら組織全体の生産性を向上させたのか、その具体的な取り組み事例をご紹介します。

会社概要

働き方改革導入の背景と目的

株式会社アライメントでは、事業の成長に伴い従業員数が増加し、従来の「時間と場所を拘束する働き方」では以下の課題が顕在化していました。

これらの課題を解決し、持続的な成長を実現するために、同社は「成果に最大限コミットしつつ、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方」への変革を決断しました。最終的な目的は、従業員の自律性を高め、個々のパフォーマンスと組織全体の生産性を同時に向上させることでした。

具体的な取り組み内容

同社は、働き方と人事評価を一体的に改革するアプローチを取りました。

1. 柔軟な時間・場所選択制度の導入

2. 成果評価への全面的なシフトと人事評価制度改革

3. 成果管理・可視化ツールの導入

導入プロセスと推進体制

同社の働き方改革は、以下のステップで進められました。

  1. 経営層の決断とコミットメント: 最高経営責任者が改革の必要性と目指す姿を明確に示し、全社にメッセージを発信しました。
  2. 推進プロジェクトチームの発足: 人事部が中心となり、総務部、IT部門、現場代表者からなるプロジェクトチームを組成しました。
  3. 現状分析と課題の特定: 従業員アンケート、インタビュー、各部署の業務実態調査などを通じて、働き方に関する現状の課題と従業員のニーズを詳細に把握しました。
  4. 制度設計: 専門家のアドバイスも得ながら、柔軟な働き方制度と成果評価制度の具体的な設計を行いました。特に、評価制度については現場からの意見収集と試行錯誤を重ねました。
  5. パイロット導入: 一部の部署で新しい制度とツールを先行導入し、運用上の課題や効果を検証しました。
  6. 全社展開と説明会の実施: パイロット導入での知見を活かし、制度を修正した後、全従業員を対象に制度導入の背景、目的、内容、期待される効果について丁寧な説明会を実施しました。質疑応答の時間を十分に設け、従業員の不安や疑問を解消することに努めました。
  7. マネージャー研修の実施: 新しい評価制度やマネジメントスタイルに対応するためのマネージャー向け研修を徹底して実施しました。
  8. 継続的な効果測定と改善: 制度導入後も定期的に従業員満足度調査や生産性指標のモニタリングを行い、改善点があれば制度や運用方法を見直すサイクルを確立しました。

直面した課題と解決策

課題1:成果の定義や測定が難しい業務への適用

特に、間接部門や研究開発部門など、定量的な成果が見えにくい業務において、成果目標の設定や評価が難しいという課題に直面しました。

解決策: * 間接部門では、業務効率化に貢献する成果(例:承認プロセスのリードタイム短縮率)や、他部署からの貢献度評価などを導入しました。 * 研究開発部門では、特許取得数だけでなく、研究プロセスの進捗度、他部門との協業によるシナジー効果、新しい知見の獲得や共有といった定性的な目標や成果も評価対象に含め、評価基準を部署ごとに詳細にカスタマイズしました。 * マネージャーと従業員の間で、目標設定の難易度について十分に議論し、チャレンジングかつ達成可能な目標を設定するためのガイドラインを整備しました。

課題2:マネージャーのマネジメントスタイル転換

部下の働き方が多様化し、物理的に顔が見えない状況が増えたことで、時間管理から成果管理へのマネジメントスタイルへの転換が求められましたが、一部のマネージャーに戸惑いが見られました。

解決策: * 「マイクロマネジメントをせず、成果で評価する」という新しいマネジメント哲学を繰り返し伝え、研修だけでなくOJTや個別メンタリングも実施しました。 * 定期的な1on1の実施を推奨し、その目的を「部下の進捗確認と評価」だけでなく、「目標達成に向けた課題の共有と支援」「キャリア開発の相談」と定義し直しました。 * マネージャー向けの成果管理・目標設定ツールの活用支援を強化し、テクノロジーがマネジメントをサポートする体制を整えました。

課題3:リモートワーク下でのコミュニケーション不足とチームワーク維持

柔軟な働き方が可能になった反面、偶発的なコミュニケーションが減少し、チーム内での連携や一体感が希薄になる懸念が生じました。

解決策: * オンラインチャットツールの雑談用チャンネル開設や、バーチャルコーヒーブレイク時間の推奨など、意図的に非公式なコミュニケーション機会を設けました。 * プロジェクト開始時や節目ごとに、オンライン/オフラインを組み合わせたチームビルディングイベントを実施しました。 * 週次のチームミーティングを必須とし、全員が顔を合わせて業務進捗や課題を共有する時間を確保しました。 * 成果評価において、個人の成果だけでなく、チームへの貢献度や協調性といった要素も考慮に入れることで、チームワークを重視する姿勢を示しました。

導入による効果・成果

これらの取り組みの結果、株式会社アライメントでは以下の効果・成果が得られました。

取り組みが成功した要因分析

今後の展望

株式会社アライメントは、今後もこの成果連動型の働き方をさらに進化させていく方針です。

本事例は、柔軟な働き方を単なる福利厚生ではなく、組織の生産性向上と従業員の自律性向上に繋げるための手段として捉え、それを支える人事評価制度の改革を同時に進めることの重要性を示しています。成果に焦点を当て、それを適切に評価・可視化する仕組みを構築することが、多様な働き方時代における組織マネジメントの鍵となるでしょう。